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「面白い! けどちょっとコワい…」 マーケティングと脳科学がフュージョンしたニューロマーケティング

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どーも。最近、無意識のうちに「無意識」について考えてしまう自分がいます。「そんなことをできるわけないじゃん」と皆さんは思うかもしれません。僕もそう思います。サンティです。

今日は、ちょっとエッジの効いたマーケティング手法についての話をします。マーケティングと脳科学が融合したニューロマーケティングというものがテーマです。この手法はエッジが効きすぎていて、面白いと同時にちょっと怖いところもあります。今日は、そんなニューロマーケティングの二面性を紹介したいと思います。

ニューロマーケティングって何?

8384110298_da510e0347_bImage by A Health Blog

ニューロマーケティングとは、人間の無意識(脳)の働きを理解することから、消費者の心理を理解しようとするアプローチです。

マーケティングでは、消費者が商品を購入するときの意思決定を理解することが従来からの課題です。言い換えれば、消費者の意思決定プロセスを理解することが、マーケティングを成功させるための大きな鍵となります。

従来のマーケティング手法では、消費者の意思決定プロセスを調べるための手段といえば、アンケート調査が主流でした。アンケート調査を行う背景には、「消費者は自分の欲求を理解している」という仮定があります。消費者は、何が欲しくて、何が欲しくないのかを理解しているのだから、アンケートを取ればそれを教えてくれるという考え方です。

しかし現実は、消費者本人も自分の意志決定プロセスを理解できていないことが多分にあります。アンケートで得られる結果は、消費者の意識にのぼってくること、言葉で表現が可能なことだけです。意思決定のプロセスはもっと複雑で、そこには感情などの無意識がふかく関わっています。当然、アンケート調査では無意識の働きを捉えることができません。

そこで表舞台に上がってくるのが、今日お話しするニューロマーケティングです。ニューロマーケティングでは、消費者の意志決定プロセスの意識的な側面よりも、無意識の側面に焦点をあてます。お客様がある商品を買う決断をした時、そこに無意識の働きがどのように影響しているのかに迫ろうとするわけです。

どうやって無意識を計測するの?

すでに述べた通り、アンケート調査のような手法からは無意識の作用を調べることはできません。アンケートから得られる回答は、言葉を使って表現できる、人間が意識できるものだけです。

なので、ニューロマーケティングでは意識を介するような遠回しな調査手法はすっ飛ばし、直接脳に迫ります! とは言っても、直接頭を開いて目視で脳を調べるわけではありません。そんな最先端なのか時代遅れなのかよく分からないことはしませんのでご安心を。

ニューロマーケティングの調査で使用されるのは、fMRI↓やNIRS、MEGなどと呼ばれる、脳の活動を計測するための機会です。

3081315619_2f263d9246_oImage by Image Editor

その他にも、表情や、心拍数、呼吸をもとに計測されることもあります。

ニューロマーケティングが活用されている分野

5546677366_454238c3fb_bImage by SMI Eye Tracking

結論から言えば、消費者の意志決定プロセスに影響を与える分野であれば、すべて対象になりえます。広告に始まり、商品デザイン、店舗デザイン、料金設定、その他様々な領域でニューロマーケティングは活用されています。

面白い研究結果その1

例えばこちら(英文)の記事では、「脳」を驚かせるキャッチフレーズの書き方をニューロマーケティングの観点から紹介しています。その方法は簡単! 誰もが知っているフレーズを少しだけ手を加えるだけで、脳が驚く1文を作ることができます。

このブログ記事では英語のことわざを使って説明しているので、代わりに僕が日本語のことわざを使って例えてみます。例えば…

急がばググれ

というフレーズを使ってみましょう。どうですか? 驚いたでしょう? 驚いたはずでしょ!? 驚いたことを願います(笑)

当然このフレーズは、「急がば回れ」ということわざをもとに作ったものですが、このような一種のパクリフレーズを使うことで、脳に驚きを与えることができるようです。原因は、四六時中予測を行っている私たちの脳にあります。

私たちの脳は、どんな情報も初めから最後まできっちり処理してから認識するのではなく、常に過去の記憶と照合させながら、次に来ることを予測しながら認識しようとします。そのため、見覚え(聞き覚え)のある情報に遭遇すると、脳はそれに続く内容を瞬時のうちに予測していまいます。

上の例の場合、「急がば…」まで読んだところでみなさんの脳はすでに、次は「回れ」が来るなと予測してしまってるわけです。そこに期待を裏切って「ググる」という言葉が入ってることで、脳が驚き、印象に残ってしまうという仕掛けです。

目的は脳を驚かせることなので、どんなフレーズを採用するにしても、変更はフレーズの後半部分に持ってきた方がいいと、上にあげた記事は述べています。1語目から変更してしまうと、予測を裏切るという目的を達成することができなくなります。脳に一旦あることを予測させておいてから、それを裏切るというイメージですね。

面白い研究結果その2

今度は日本語のこちらの記事に載っている研究結果を紹介します。記事の題名にもある通り、「脳の中にあるブランドが味にも影響」するという研究結果についてです。記事を読んでいただければわかるので、ここでは簡単に説明します。

2004年のアメリカにおける実験で、コカ・コーラとペプシを使ってブランドイメージがいかに商品の消費に影響を与えるかということが調べられました。実験の内容は簡単なもので、被験者にコカ・コーラとペプシを飲んでもらい、どちらが美味しいかを教えてもらうというものでした。ただし、被験者にはそれぞれ「ブランドを隠した状態」、そして「ブランドを見せた状態」で好きなドリンクを判断してもらうという条件が付けられました。

結果、「ブランドを隠した状態」では両方の好まれ方には差がありませんでしたが、「ブランドを見せた状態」ではコカ・コーラの方がより好まれるというデータが出ました。

この研究では、fMRIを使用して被験者の脳の反応が観察されましたが、「ブランドを見せた状態」でドリンクが飲まれた時には、脳の記憶や行動の判断を司る部位が活性化することが発見されました。このことから、人が味覚の判断を行う時には、実際の味だけでなくブランドイメージも影響しているということがこの研究では主張されました。

ちょっと怖い活用例

ここでは、最近読んだ英語の記事スペイン語の記事に載っていたニュースを紹介します。どちらもニューロマーケティングの政治における使用を報じる記事です。

1つ目の記事では、ニューロマーケティングがいかに政治の世界にも入り込んでいるかが紹介されています。世界中のいたるところで、政治家は有権者の好反応を得るためのデータを求めており、ニューロマーケティングの手法に手を出し始めています。

例えば、複数枚の政治家の選挙広告を被験者に見せ、表情の変化を機械で読み取るという実験が行われています。そのような実験を通して、有権者の反応が一番ポジティブな画像・文言等を導き出すわけです。

2つ目の記事では、メキシコ議会の与党がニューロマーケティングの手法の使用を断念するというニュースが報じられています。与党のPRIは2012年の大統領選挙で、脳波や表情の観測を通して、ライバル候補者への評価や自党の大統領候補が有権者と効果的に「つながる」ための方法の調査を、ある会社に依頼していたことが明らかにされています。

これは倫理的に問題があるという批判が高まったため、ニューロマーケティングの手法は今後使用しないという声明を出さざるをえなくなったというニュースです。

まとめ

14414603887_6df60b5a60_bImage by Allan Ajifo

以上、ニューロマーケティングについて紹介してきました。人間の無意識を扱う手法であるため、非常に強力な効果が期待できるものだということが分かっていただけたかと思います。

しかし、それが無意識を扱うものである以上、商用利用の間はギリギリセーフだとしても、政治利用されるとなると倫理的な問題が出てくる理由も理解できます。有権者の理性的な判断が大前提とされている政治に、理性ではコントロールしにくい無意識が持ち込まれるわけですから。

ただ、個人的には、政治家が単なる「テクニック」としてニューロマーケティングの手法を活用する危険は考慮しつつも、「いつの時代にも政治と感情は切り離されずに一緒だったでしょ」とひねくれたツッコミを入れたくなりました。

ニューロマーケティングの政治利用の是非の以前に、私たちって本当に理性的な判断をもとに投票を行っているんでしょうか? 僕は、政治においても感情が少なからず大きな影響力を持っていると考えます。そうだとすれば、問題はもっと深いところにある気がします…

っと思わず真剣な政治の話になってしまいましたが、以上スゴいけどちょっとコワいニューロマーケティングについての紹介でした。

P.S. ニューロマーケティングを使って、雨を止ませることとかはできないんですかね!?

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